(2005年12月9日/上北郡六ヶ所村)
「みるふらわぁ」と消費者との交流会は、
酪農の生産現場の視察・作業体験を通じて、食の安全や地産地消についての理解を深めるとともに、
相互理解を深め合うことをねらいとして開催されました。
(主催:あおもりくらしの総合研究所、六ヶ所村酪農女性組織みるふらわぁ)
♦♦本日の内容
◆らくのう青森TMRセンター見学
◆酪農生産の現場視察(乳しぼり体験)
◆牛乳を使ったメニューで昼食
◆生産者との交流会
◆長いも集荷施設の見学
♦♦見学の様子
荒れ模様という予報がはずれ、朝から日ざしに恵まれたよいお天気になりました。朝8時半すぎに青森駅を出発。バスの中では酪農の現状についてお話を聞きながら移動しました。
◆酪農家の1日(冬期の一例)◆
5:00~6:00 起床
搾乳、給餌、牛舎の掃除
9:00ごろ 朝食
夕方 搾乳
★日中は比較的自由な時間を持てるそうです。
夕方と翌朝の乳しぼりを委託できるヘルパー制度や、家庭内での役割をうまく分担する家族経営協定など、経営の安定と魅力ある酪農経営を目指して、さまざまな工夫がされています。早朝から夜まで年中無休で働くというイメージが大きく変わりました。
|らくのう青森TMRセンター
ここは、牛に与える完全混合飼料(TMR:Total Mixed Rationの略)をつくっている、県内唯一の工場です。飼料の原料は、小麦わらやビートパルプなどの他、りんごジュースやビール、醤油をつくるときに出る搾りかすやおからなど。残留農薬の心配がない、安全な飼料がつくられています。
←原料には、食品としてふだん私たちが口にしているものが多く、香りに誘われて思わず手にとる参加者も。
1リットルあたりの市販価格を比べると、牛乳はミネラルウォーターよりも安いという現実があります。センターで一括製造することにより、飼料の栄養価や品質を一定に保つとともに、コストを抑えて酪農家の負担を軽くする意図もあるという説明に納得しました。
|酪農生産の現場観察
庄内地区で約100頭の牛を飼育している阿部さんの農場にお邪魔しました。Cow confortという考え方に基づいて、身体を動かしやすいよう鎖を使ってつないだり、コンクリート床の上に厚さ50ミリのゴムマットを敷くなど、牛の居住環境を快適に保つ工夫が随所に見られました。
←感染症を防ぐため、
牛舎に入る前には靴の上にビニールカバーを履きます。
←どの牛も穏やかな表情をしていました。
◆cow comfortとは◆
牛にとってより快適な居住環境を整えることで、牛にかかるストレスを軽減し、乳量や品質の向上を目指す飼育方法。専門のコンサルタントによる一頭ごとのデータ管理もおこなわれ、健康管理も万全です。
乳しぼりを体験! 逆流しないよう親指と人さし指でしっかり握り、中指、薬指、小指の順にしぼっていくと、シューッと牛乳が出てきました。かなり強く握る感じで、牛は痛くないのかと心配でしたが、リラックスした様子でひと安心。
ふだんは、搾乳機を使って、1回につき5~10分ぐらいかけて乳をしぼっています。一頭あたりの乳量は1日約30kgだそうです。
←搾乳の様子を説明する阿部さん
◆◆昼食と交流会
庄内地区の集会所に集まったのは、消費者と生産者など約60名。酪農家の女性のみなさんが準備してくださった昼食は、すべて牛乳を使った料理で、おいしさはもちろん、バリエーションの豊かさに驚きました。
食事の前には、みるふらわぁのみなさんの創作メニュー「牛乳もち」づくりの実演があり、参加者も加わって盛り上がりました。
◆牛乳もちの作り方◆
①牛乳3:片栗粉1の割合でよく混ぜ合わせ、弱火~中火にかけます。
②火が通るまで、休まずかき混ぜます。
③火が通り始めると、あっという間に固まって、乳白色に輝く、きれいなお餅のできあがり♪
粒あんときな粉をからめると、ほんのりとしたミルクの香りが引き立って、懐かしいおいしさでした。
交流会では、消費者からのさまざまな質問に生産者のみなさんが一つひとつ丁寧に答えてくださいました。牛乳は出荷の前に毎日必ず品質検査が実施されること、飼料や飼育環境を工夫し、安全・安心かつおいしい牛乳を求めてたゆまぬ努力をされているという話に、みんな熱心に聞き入りました。酪農=北海道というイメージがあるけれど、品質では絶対に負けないものをつくっていると語る表情からは、酪農にかける思いと日々の努力に裏打ちされた自信が熱く伝わってきました。
消費者から出た「生産者の話を聞いてから食べると、おいしさが倍増。生産者の心意気がわかって中身がわかれば、消費者は絶対に食べたくなる」という意見には、参加者一同、深くうなずいていました。
◆昼食のメニュー◆
・牛乳カレー
・手づくりヨーグルト
・牛乳フルーツかん
・りんご入りシナモンドーナツ
・牛乳もち
「もっと牛乳を使ってほしい」という思いから生まれたご馳走です。
←手づくりのお漬物も添えられ、おなかも心も満ち足りたひとときでした。
●「みるふらわぁ」とは●
「ミルク」と「フラワー」をあわせて、「みるふらわぁ」。六ヶ所村酪農振興地域の女性たちが集まり、生活向上と生産基盤の確立、福祉の増進への寄与、仲間づくり推進を目的として平成9年に設立されました。現在35名の会員が、名前の由来にもなっている牛乳を活用した手づくり料理の普及や、住宅・道路の周辺に花を植える活動をはじめ、酪農と地域を元気にする活動に取り組んでいます。