第3回・葬に関する勉強会
【テーマ】
「葬に関するよくある質問」
と
「生前葬」
主催:The企画エルサーチ
協力:青森冠婚葬祭互助会
●●日 時:2007年6月29日(金)
10:30~12:00
●●会 場:まちなかフューネラルホーム平安閣
>> 青森冠婚葬祭互助会のホームページ へ
3回目を迎えた「葬に関する勉強会」のテーマは、「葬に関するよくある質問」と「生前葬」。
12名が参加して意見を交わした勉強会の様子をレポートします。
第1部:葬に関するよくある質問
朝からあいにくの雨模様でしたが、早々に参加者が集まり、定刻にスタート。第1部では、青森冠婚葬祭互助会の桜庭さんを講師に招き、「葬に関するよくある質問」についてお話を聞きました。
まずは「電話で受けるよくある質問」について。
【遺影用の写真】
写真選びのポイントは「本人が大きく映っているもの」「デジカメなら、写真屋さんでプリントしたもの」。5年以内の写真なら違和感なく使えるが、年に一度時期を決めて写真を撮っておいたり、スナップ写真から自分の気に入ったものを選んでおくとよいというアドバイスも。
「遺影は笑っている写真でもいいの?」という質問には、「最近は、ふだんのままの服装で“その人らしい”表情の写真が使われることが多くなっています。“その人らしさ”の感じられる写真ならば笑顔でもよいのでは」との答え。また、「故人の強い希望で30年前の写真を使ったが、参列者は疑問の表情だった」という経験談には、「喪主挨拶のときに、その写真を使った経緯を一言お話しされるとよかったですね」とアドバイス。経験を積んだ専門家の的確な答えに、質問した人も納得の表情でした。
【エンディングノート】
葬儀が終わってから見つかるケースが多いため、自分の思いを生かした葬儀にしてもらうためには、保険証書などといっしょにまとめておき、元気な間に家族に伝えておくことが大切だそうです。希望者には、青森冠婚葬祭互助会バージョンのエンディングノートが配られました。
【弔辞】
基本は「あまり構えすぎず、長くなりすぎないこと」。長さは便せん2枚ぐらいを目安に、故人の人柄がしのばれるエピソードを盛り込むとよいそうです。友人の遺影に津軽弁で思い出を語りかけた弔辞が印象的だったという話に、参加者もしきりにうなずきながら聞いていました。
続いて、葬儀の当事者となった方から多く寄せられる質問についての話題に。
【喪主挨拶】
近しい人を亡くした悲しみや葬儀の慌ただしさの中で内容を考えるのは大変な負担ですが、互助会では例文をいくつか用意して渡しているということで、参加者からは「それは安心」という声が聞かれました。最近は、亡くなった経緯や故人への思いを参列者に伝える内容の挨拶も増えているそうです。
【法事料理、引き物の金額】
法事料理は1人7,000円前後が多く、会費制の法事が増えていること、引き物の代わりに2,000円程度のお菓子を渡すケースも多くなっているなど、具体的な数字を挙げたわかりやすい説明でした。
【お知らせのしかた】
亡くなったことや葬儀の日程を知らせる方法として青森県では新聞広告がよく使われますが、身内だけで静かに見送りたいという思いや、経済的な事情から新聞広告を使わない人も増えていると聞き、うなずく姿も。ただし、その場合は遺族が電話や口頭で伝えることになり、かえって負担を大きくする面もあるそうです。回覧された新聞広告の料金表に目を丸くする人もいました。
【葬儀に関するタブー】
「身内に重い病気の人がいる場合は参列を見合わせる」「妊娠中は、鏡を持ってお参りする」などの話に、参加者からは「昔からの言い伝えは理由があるはずだから、無視できない」という声が上がる一方、「長患いでいつも参列できないのでは、交際上支障がある」「迷信では…」との意見も出ました。病人の負担を避けたり、無事な出産への願いから生まれた言い伝えではありますが、要は1人ひとりの考え方の問題のようです。
最近は、故人が好んだ花を飾る葬儀も増えていますが、一般的には、とげのあるバラや原色の派手な花、香りの強すぎる花、牡丹や椿などは使えないそうです。これも、葬儀の形式によって大きくちがってくるので、自分の葬儀に使ってほしい花がある場合は、あらかじめ形式も含めて考え、書き記しておくことが必要だと思いました。
休憩時間には、おいしいお菓子とお茶で、ホッと一息。対馬副代表が五所川原から持参した和菓子〈写真いちばん左〉が大好評。「立佞武多の館」近くのお菓子屋さんのものだそうです。涼しげな葛に包まれた餡が口の中でふわっと溶ける、やさしい甘さのお菓子でした♪
第2部:「生前葬で得られたこと」とは何か?
第2部は、蒔苗代表による「生前葬」についての報告です。まず生前葬の趣旨や歴史を説明、ことば自体はよく知られるようになってきたが、実際に「ぜひ行ないたい」と考える人は1%程度、青森県ではまだ行なわれたことはないらしいと紹介しました。続いて、インターネットで見つけた「生前葬」について考察した記述の朗読、実際の生前葬を記録したDVDについて対馬副代表が報告しました。
さらに、「人生の中で自分が出会ってきた人どうしを引き合わせる場にしたい」と、生前葬を執り行なった青森出身の男性へのインタビューの内容を報告。招待状を送った親友に「何を考えてるんだ!」と怒られたり、特に反対しなかった家族も出席はしてくれなかったエピソードを、参加者はそれぞれ“自分の場合”に思いをはせる表情で耳を傾けていました。
最後に、参加者全員から一言ずつ意見や感想をうかがいました。いくつかを紹介します。
【新しいスタイルの葬儀が青森でも】
シンガーソングライターの板橋かずゆきさんから、通夜や葬儀に招かれて故人の好きだった曲を歌う機会が増えていることを聞き、青森でも形式にとらわれない葬が行なわれていることに驚きました。
【自分への生の声を聞いてみたい】
生前葬の招待状を出して一体どれくらいの人がきてくれるのか…。でも、生前葬を通じて、自分に対する「生の声」を聞いてみたいという思いもあります。葬は自分1人のものではないので、難しいと思うけれど。
【反省いっぱいの葬】
父が亡くなったとき、わからないことだらけで、だれを信じてよいのかもわからなくなってしまい、反省いっぱいの葬になってしまいました。母や自分のときは納得のいく葬になるよう、きちんと考え勉強していきたい。
生前葬については、他の参加者からも「自分ならこんなふうにしたい」と思いが語られた他、「生前葬で香典を受け取ったら、本当に亡くなった後の葬儀では受け取らないの?」といった現実的な疑問も…(←実際はケースバイケースだそうです)。
まだまだ馴染みのない生前葬ですが、核家族化などにより、身内でもなかなか会えない状況が増えている中で、「生前葬」は親しい人が集まり、人生をふり返る場としての「葬」の側面を体現するものであるようにも思えました。
どんな人にとっても避けることのできない「葬」について、これからもみなさんと考えていきたい、と蒔苗代表が挨拶し、第3回勉強会は無事終了。会の終了後も、専門家にアドバイスを求める姿がありました。
次回の葬に関する勉強会は、9月ごろ開催の予定です。
日程やテーマなど、くわしいことが決まりましたら、改めてお知らせします。