青森県中南県民局 地域農林水産部普及指導室
第2回 女性起業化ステップアップ講座
●● 「消費者をふりむかせるプレゼンの仕方」●●
■日 時:2008年1月30日(水)
10:00~15:00
■場 所:青森県弘前合同庁舎 別館3階
中南県民局農林水産部が、平成19年度農村女性チャレンジ支援事業の一つとして、
起業化に積極的な農村女性を対象に開催している
「女性起業化ステップアップ講座」(第2回)で、
「消費者をふりむかせるプレゼンの仕方」をテーマに
講話と演習を行ないました。
講演「起業化に必要な経済的視点」
講師:(財)21あおもり産業総合支援センター
コーディネーター 斎藤光世さん
「女性起業化ステップアップ講座」は、昨年12月に続いて2回目。今回は22名が参加し、(財)21あおもり産業総合支援センターの斎藤光世さんの講演と、The企画エルサーチの蒔苗、対馬の講話と演習の二部構成で行なわれました。
■■ 起業化に必要な視点とは?
斎藤さんは「女性起業化に必要な経済的視点」と題して講演。県内の起業の実例を挙げながら、「起業とは、一方通行の想いにとどまらず、消費者との双方向の視点を持つこと」「どんなことがしたいかという構想とともに、お金の流れと構造を知ることが必要」であること、また、魅力ある商品づくりに欠かせないのは「商品企画力」と「固定観念から脱却し、付加価値をつけること」と話しました。
最後に、斎藤さんが「今日はきちんと話せば4時間かかる内容を駆け足で話しましたが、ぜひ勉強を続け、県内の年間売上げ100億円を目指してがんばってください」と激励すると、参加者から大きな拍手が起こりました。
講話と演習「消費者をふりむかせるプレゼンの仕方」
講師:The企画エルサーチ(蒔苗正子、対馬逸子)
続いては、エルサーチの出番です。最初に、エルサーチのメンバー3人が自己紹介。三人三様の自己紹介となり、プレゼンの勉強を目的に集まった参加者のみなさんには、良否両方の見本となったのではないでしょうか。
全体のスケジュールを説明した後、午前中の残り1時間を使って、蒔苗が講話を行ないました。
■■ 「プレゼン」は、何のために?
まず、プレゼンの目的について、「商品や作り手である自分のことを理解してもらうため」のものと説明。よりよく理解してもらうためには、知らせたい内容を整理し、相手に応じたアピールをすることが必要であり、事前にしっかりと準備しておくことがプレゼンを成功させる秘訣と話しました。
■■ プレゼンをチェックしてみよう!
プレゼンの仕方によって、どれだけ印象が違ってくるものでしょうか。対馬が架空の商品を使ったプレゼン2例を行ない、参加者のみなさんに考えていただきました。
まず、最初のプレゼンを見て気づいたことを尋ねてみると、「商品の見せ方が悪い」「商品の表示がわからない」「身内の評価しか話していない」「自信がなさそう」「買ってほしいという気持ちが伝わってこなかった」…等々、厳しい評価ばかり。そうです、最初は「よくないプレゼン」の例でした。
ここで、プレゼンは単なる商品紹介ではないこと、魅力あるプレゼンにするためには、素材・価格・量など「商品の情報」を整理するとともに、プレゼンの目的・対象・会場(広さやテーブルの並び方など)・使用できる道具を把握し、その商品の「いちばんの売り」を、どんな「キーワード」で伝えるかを事前に考えておくことが重要だと説明しました。
そのポイントをふまえた2例目「魅力あるプレゼン」例は、「野菜ソムリエ」のユニフォームを身につけて行ないました。最初との違いを聞いてみると、「服装」「笑顔」「商品がよく見えた」「アンケートの結果が紹介されてよくわかった」と、今度はプラスの評価が並びました。
2つの例を見比べてもらうことで、参加者のみなさんにも「プレゼン」の意味が実感として伝わったようです。
■■ 「人」こそが最大の「売り」
「2つの例を比べて、どこがいちばん変わったか? みなさんから出た意見をまとめると、実は“人”こそが最大の“売り”ということがわかってきます」という蒔苗の言葉に、大きくうなずく参加者のみなさん。
「服装は、清潔さの見えるものを。グループで発表するときは、そろいのエプロンやバンダナでアピール」「笑顔には明るさとともに、自信がある印象を与える大切な効用がある」「ボディランゲージをうまく使って」「お客様の顔を見て話せるように、仲間内で練習して」など具体的なポイントを説明、これまで見聞きした例を挙げて「五感を刺激する小道具で、どこか他の人と違う点を印象づけることも大切」と話すと、参加者のみなさんは熱心に耳を傾けていました。
ここで、午後のグループワークの手順を説明して、午前の部は終了。
お昼の休憩時間は30分少々のあわただしいものでしたが、食事をしながら情報交換をしている姿も見受けられました。
■■ グループワークで商品と向き合う
午後は、参加者が持ち寄った商品を使って、実際にプレゼンを行なう演習です。
参加者は5つのグループに分かれて、プレゼンに使用する商品と発表する人を決め、配布した3枚のシートに書き込みながら、プレゼンの準備を進めていきます。
「商品情報シート」には商品の価格や量、熱量(カロリー)、主な材料など基本的な情報を、「分析シート」にはプレゼンの目的や対象、会場、道具、PRのポイントとなることばなどを書き込みます。 そして、プレゼンの土台となる「組み立てシート」には、商品のセールスポイントを挙げていきます。
「発表者や商品の名前の他は、グループごとに自由に考えて」という課題に、商品を作った人に苦労話や味のポイントを聞くなど、商品に向き合い、知恵を出し合いながら作業を進めていました。
書き込みの終わったグループは、タイマーを使って練習。伝えるべきポイントが時間内におさまっているか、何度もチェックしていました。
■■ 1分間のプレゼンに挑戦!!
演習の仕上げに、全員の前で商品のプレゼンを実施。各グループとも1分間のプレゼンで、商品の魅力を伝えることにチャレンジしました。
笑顔で「こんにちは!」と呼びかけたり、「いらっしゃいませ」と始めたり、グループで商品の説明や写真を示しながら発表したり…時には笑いもあり、いずれも午前中の講話で学んだことをじゅうぶんに生かした発表内容でした。
どの参加者も、他のグループのプレゼンの様子や内容を真剣な表情で見つめ、近くの人と意見を交わしたり、メモをとったりしながら聞いていました。
対馬が質問者に扮して、質疑応答の練習もしましたが、中には参加者から本当の質問も飛び出して、本番さながらのプレゼン演習となりました。
■■ 自分で作った商品だからこそ生まれる言葉を大切に
演習のまとめとして、「商品について、頭で思うだけでなく、書きだしたり、口に出したりしてみることは、とても大切」「自分で作った商品だからこそ生まれる言葉を大切にしてください」と蒔苗が話すと、実感をこめてうなずく姿があちこちにありました。また、「良い商品は作り手の心意気を含めて紹介していきたい。自信作ができたら、ぜひ教えて」という対馬の言葉に、みなさんがにっこり笑ってこたえていました。
最後に、この講座を主催した青森県中南県民局 地域農林水産部普及指導室の神山室長さんから「今日、学んだことを明日からの仕事にしっかり生かして、がんばってください」と励ましの言葉があり、参加者の大きな拍手と笑顔とともに終了しました。
みなさん、長い時間、お疲れさまでした!!
(reported by Yamamoto)