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北緯40度のフレッシュハーブ
大西ハーブ農園
青森県上北郡六戸町
(かみきたぐん・ろくのへまち)
ハーブを育む土と光
大西ハーブ農園は、青森県の南東部・上北郡六戸町にあります。かわいらしい木の看板に出迎えられて車を降りると、ほんのりといい香りがします。緑に囲まれた事務所には、収穫されたハーブの香りがあふれていました。
■■「山」の正体は?
農園主の大西正雄さんに案内され、畑の方に向かう途中、ビニールハウスの脇にある、こんもりとした土の山のようなものに気づきました。「これ、何だと思いますか?」と大西さんに尋ねられ、「土?」。「馬の堆肥ですよ」と、大西さん。
馬のからだは化学物質をまったく受け付けず、飼料もすべて自然のものしか口にしないため、馬の堆肥は、化学物質を一切含まない、完全に安全な肥料になるそうです。大西さんの農園では、肥料はすべて、この馬の堆肥を使っています。
■■ハーブを育む「北緯40度」の光
畑に行くと、ハーブの香りがぐっと深くなりました。黄緑から濃い緑、紫や赤に近い色まで、色とりどりのハーブが目に鮮やかです。ここでは、夏場は約100種類、冬期はハウスの中で約60種類のハーブが栽培されています。ハウスといっても、冬も暖房は使わず、お日さまの光だけで育てています。
「青森県は、ハーブの原産地である地中海沿岸地方とほぼ同じ北緯40度。気候はちがっても、ハーブの栽培に適した光があるんです」と、大西さんが話してくださいました。
■■完全無農薬・無化学肥料で育てられているからこそ
ハーブといえば、ハーブティーや乾燥ハーブが思い浮かびますが、大西さんのフレッシュハーブは「食べるハーブ」。説明を聞きながら、大西さんが摘んでくださる葉を噛むと、鮮烈な香りが口の中いっぱいに広がります。それぞれに強い味や香りがあり、はっきりとした個性があることがよくわかります。
大西さんの畑には、雑草もたくさんあります。それは、虫の害をハーブに集中させないため。農薬をまったく使わないので虫食いの葉もありますが、それをとがめる人はなく、安全の証としてかえって喜ばれるといいます。
完全無農薬・無化学肥料で育てられているからこその「虫食い」。畑から摘んだままの葉も安心して口に入れることができるのです。
青森県から全国へ
■■これもハーブ!?
大西さんの農園には、珍しいハーブもたくさんあります。
左の写真の黄色い花は「花オクラ」といって、花びらを料理の飾りや盛りつけに使います。しかも、ただの飾りではなく、食べられるのです。食べてみると、サクッとした歯触りといい、粘りといい、まさに「オクラ」でした。色と形、味の取り合わせがフレンチのシェフたちの想像力を刺激するらしく、人気上昇中だそうです。
右の写真は、ルッコラ・セルバティカというハーブで、イタリアンの素材としておなじみのルッコラの原種です。
タンポポにも似た葉っぱは、スーパーなどで買うルッコラよりも濃い味と香りがあります。「原種は、生命力が違うでしょう」という大西さんのことばに納得しました。
■■ヒントは、自然の中に
大西さんはハーブの話をしながら、アイディアが次々と湧き出てくるようで、聞いているこちらまで楽しくなってきます。そのアイディアの源はどこから?と尋ねると、「ヒントは自然の中にいっぱいあるんですよ!」という答えが返ってきました。大西さんの生き生きとした心がハーブにも伝わっているようだと感じました。
■■一枚一枚に愛情をこめて
ハーブは株ごと収穫するのが一般的ですが、大西さんの農園では、ハーブの葉を一枚一枚手で摘んで収穫しています。その日に一番よい葉を選んで出荷するための、手間を惜しまない作業です。作業の様子から、ハーブへの深い愛情が伝わってきます。
大西さんが愛情をこめて育てるハーブは、全国から一流の料理人が自ら足を運んで求めるほどで、その品質は折り紙付き。話題の「ミシュランガイド・東京」で三ツ星に選ばれたフレンチレストラン「ジョエル・ロブション」でも、大西さんのハーブが使われています。
「ハーブといえば、青森県といわれるようにしたい」という大西さんの畑から生まれるハーブは、私たちの食卓に新しい風を吹き込んでくれるようです。
(取材日:2007年10月2日)
NHK「食彩浪漫」1月号で紹介されました!!
北緯40度の「フレッシュハーブサラダセット」
5,000円(消費税込/送料別)
青森の“とっておきの味”として、大西ハーブ農園の「フレッシュハーブサラダセット」(フレッシュハーブ500g以上/ハーブティー用フレッシュハーブとハーブの名前がわかるミニガイド付き)を特別提供いたします(2008年1月末までの期間限定)。
ハーブサラダミックス 350円
(限定入荷につき、品切れの場合もあります)
大西ハーブ農園の「ハーブサラダミックス」は、青森空港1F売店で買うことができます。約15~20種類のフレッシュハーブの詰め合わせで、2~3人家族で食べるのにちょうどよい量。
ちょっと気のきいたおみやげにいかがですか?
(reported by Yamamoto)
(※情報は取材当時のものです)