• The企画エルサーチ株式会社

■ 日 時:2010年1月24日(日)13:00~15:00
■ 会 場:平安閣アネックス(青森市堤町2-4-1)

主催:青森県視力障害者福祉連合会
協力:(株)青森冠婚葬祭互助会
企画・運営:The企画エルサーチ(株)


青森視力障害者福祉連合会青年部の研修会として、「視力障害者のための冠婚葬祭マナー」が開催されました。
当日の様子をレポートします。

見えない故の失敗を乗り越えて

 この日の研修には、青森県視力障害者福祉連合会の会員20名が県内各地から参加しました。
 結婚式や祝賀会などお祝い事の席に出るとき、あるいは葬儀や法事など悲しみの場に立ち会うとき、どのようにふるまったらよいのか─「見えない故の失敗があり、見えないからと許されてきたこともありますが、視力障害があっても社会人としてのマナーや常識を身につけておきたい」と、青年部長の土崎庸子さんが研修会の主旨を説明。
 続いて、会長の福井さんが「今日は、これまで疑問に思いながら聞けないでいたこと、わからないことがあれば何でも聞いて、しっかり勉強していってください」とあいさつして、開会しました。

お祝い事のマナー

■■ 手で触れて「初めて違いがわかった」

 前半は、フリーアナウンサー・長岡るみ子さんによる「お祝い事のマナー」についての研修です。招待状への返信の仕方から服装、祝辞、式場内でのふるまい方など、1つひとつ具体的に教えていただきました。服装やご祝儀の金額には、特に興味しんしんの様子。
 司会者として、たくさんの結婚式を見てきた長岡さんの経験から出る言葉には説得力があり、参加者のみなさんも「なるほど~」とうなずくことしきりでした。

 ご祝儀袋の「結び切り」「蝶結び」の使い分けについての説明では、参加者のみなさんの手元に2種類の祝儀袋を回して、手で触れていただきました。「これは蝶結び」「こっちは結び切り」と指先で水引を探りながら、「初めて違いがわかった」という方がたくさんいました。

 また、テーブルで椅子に腰を下ろすときには「左から座り、左から立つ」のが基本だそうです。これも全員で実習し、グラスを持ったつもりで乾杯をしました。「乾杯のあいさつが思いのほか長いことがよくあるので、乾杯の発声があるまでグラスに指をかけたままテーブルに置いておくと安心」というアドバイスに笑顔でうなずいていました。

 最後に「質問があれば…」と長岡さんが声をかけると、会場の数人から声が上がりました。
 椅子にかける姿勢やお祝いの渡し方など一般的な質問の他に、「一緒に行くガイドヘルパーさんの服装はどうすればいい?」「立食パーティーや大皿から取り分ける料理のとき、同席の人にどう声をかければよいか」という質問には、参加者のみなさんからも「私も困っていた」「何も食べられないで帰ることもある」と切実な声も聞かれました。

悲しみのマナー

■■ 現実に即した説明に、みんな納得

 後半は、青森冠婚葬祭互助会のスタッフによる「葬儀・仏事のマナー」です。
 初めに、神 勲さんが受付でのやりとりや会場内での動き、服装など、仏事や葬儀の流れに沿ってマナーを説明。
 「お焼香は宗派によって決まりがありますが、あまり丁寧だと煙が多くなって火災報知器が作動したり、せき込んだりして大変なので1回でいいです」「読経や法話は長いと思わず、ありがたいと思って聞いてください」とユーモアをちりばめた説明に、みなさんも思わず笑顔になって聞き入っていました。

 時には、参加者どうし手を取って教え合ったりする姿もあり、研修はとても和やかな雰囲気。

 玉串の捧げ方は、全員に1つずつ榊を持っていただいて実習しましたが、「手に覚えさせる」と何度も繰り返し練習している人もいました。

 続いて、小林愛理さんが服装について話しました。「お通夜は地味な服装でよいとされていますが、青森では、お通夜でも喪服が一般的」と、地域の実情に即して説明。「数珠を左手に持つのは、左手から来るとされる厄を防ぐため」と話すと、会場から思わず「へぇ~」と声が上がっていました。
 「女性でも寒いときはズボンをはいて行ってもよいか?」との質問には、「パンツスーツでも大丈夫。雪などで足元が悪いときには、長靴で来て会場で靴に履き替える方もいますよ」。答えを聞いて安心した表情になっていました。

 質問のコーナーでは「お焼香のとき、線香は何本立てる?」「香典を包むときのマナーは?」「自分の体調が悪いときは欠席してもよいか?」「県外から移り住んできた場合、どのお寺に頼めばよいか」など質問がたくさん出ましたが、神さんが1つひとつ丁寧に、的確に答えていました。

■■ 元気なうちに考えて

 最後に、青森冠婚葬祭互助会の船橋素幸社長が、この研修会を開催した経緯や平安閣の施設を紹介。参加者全員にオリジナルのエンディング・ノートがプレゼントされました。
  「10年前に初めてエンディングノートを作ったときには、縁起が悪いという人がたくさんいましたが、この数年でずいぶん浸透してきたと感じています。みなさんもぜひ、元気なうちに自分の“最後のとき”について考え、ご家族とも話し合ってみてください」という船橋社長の言葉に、みなさん熱心に耳を傾けていました。


 2時間余りに及ぶ研修会でしたが、参加者のみなさんは「今まで知らなかったことがよく分かった」「勉強になったので、まわりの人にも教えたい」「今日は参加して本当によかった」と晴れやかな顔つきで会場を後にしていました。
 視覚障害の方たちがどんなことに不便を感じていらっしゃるのか、私たちにとっても学ぶべきことの多い研修会でした。
 みなさん、ありがとうございました。

[取材日:2010年1月24日/ヤマモト]

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