あおもり特産畜産物「日本短角種」
「青森シャモロック」新作メニュー発表会
主催:青森県農林水産部畜産課
■日 時:2011年2月10日(木)
10:30~13:30
■会 場:アピオあおもり (青森市)
大研修室1 大研修室2
本県の特産畜産物の特性を知るための勉強会とともに、調理方法の少ない部位の消費拡大を図るため、
『あおもり特産畜産物「日本短角種」「青森シャモロック」新作メニュー発表会』が開催されました。
新作メニューの試食調査を兼ねた発表会の様子をレポートします。
特産畜産物の特性を知る
当日、雪の影響で開始時間が少し遅れましたが、会場内は満席となり、『あおもり特産畜産物「日本短角種」「青森シャモロック」新作メニュー発表会』は、開会されました。午前中は二人の講師をお迎えし、講演会が行われました
■■ 『 取引きされる地鶏になるため 』
講師:菅 慎太郎 氏
(株式会社 味香り戦略研究所 ソリューションサービス部 部長)
「地鶏をブランド化するにあたっては、質を明らかにし消費者に実際に食べてもらい、来客数を増やしていくことがブランド化につながる」というお話がされました。
「日本人は味覚が変わってきていると言われているが、実際にはそうではなく、若年層が、食材の細かなクオリティーを考え料理を食べていないこと」、「食べた印象を表現する言葉の数が減っていることが背景にある」ということも、お話されていました 。
又、消費者の安全・安心のシグナリングは「国産か否か」であり、価格の安さで購入しているので、肉のおいしさは選択の優位になっていないそうです。
その中で、飼料用米を多給した時に、鶏肉が白っぽくなるなど、見栄えの問題点もあるが、国内産の飼料にすることが、取引される地鶏にしていくことにつながるそうです。
講演後の質問に対し、消費者はスーパー等には肉のおいしさに大きなウェイトを置いていないため、生産者自身で交渉カードを持てるような売場を選ばなければいけないこと、消費者に価値を認識させるために食体験をさせるなど、今後に関してのアドバイスがありました。
■■ 『日本短角種の良さ 』
講師:渡邊 彰 氏
(独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター 日本短角研究チーム長)
赤身肉が注目される中で、黒毛和種と日本短角種のロース肉の一般成分を比較したことにふれ、「日本短角種はヘルシーな肉質であり、かたさと味の違いが、品質の違いにつながる。
柔らかく感じてもらうには脂肪交雑で10%以上の脂肪が必要で、現在、脂肪にたよらずに肉を柔らかくしていくための研究を進めている」とのことでした。
黒毛和種の肉の遊離アミノ酸総量と粗脂肪含量を調べたところ、粗脂肪含量が増えると遊離アミノ酸量は低下することから、黒毛和種の肉は脂肪の味ではないかと言われているそうです。
短角牛を調理した際に、パサついて美味しくなかったというお話もあるようですが、赤身肉の調理の仕方を誤解しているからなのだそうです。しかし、食中毒菌のことも考えた調理をするとかたくなるため、レストランではドライエイジング(乾燥熟成)した後に店に出しているそうです。
日本の牛の飼料穀物87%が輸入でほとんど草を食べていないのが現状です。そこで発生するのがふん尿問題です。その中の窒素・リンが、日本の環境汚染につながるのだそうです。環境問題からも、「消費者には、購入する食品がどの程度環境に負荷をかけているのかを考えて欲しい」と話されていました。今後、持続可能な農業には物質循環が必要であり、それには放牧されている日本短角種は適しているのです。
新作メニュー発表会
午後は、別室にて新作メニュー発表会が開催されました。
お肉の部位4種(短角牛バラ肉・すね肉、シャモロックむね肉・ささみ)毎に3品(和食・中華・洋食)試食料理が準備されました。
ところ狭しと参加者が会場内にあふれ、レシピと照らし合わせながら、料理の紹介に聞きいっていました。
■■ 新作メニューとその特徴
会場内に設けられたPRコーナーは、参加者でいっぱい。
知り合いの顔を見つけて声をかける人、興味のある商品を手にとって説明を受ける人…初めは恐るおそる声をかけていた人も、すぐに打ち解けて会話が弾んでいました。
和風
『青森県産短角牛すね肉 炊込みごはん』 すね肉は噛めば噛むほど味がでる食材であり、炊込みに合う料理である | 『青森県産短角牛ばら肉と季節野菜の柚子あんかけ』 和食の食材を取り入れた一品である 。 |
『青森シャモロック ささみゼリー寄せ』 ささみをゼリーで寄せた上に白髪ねぎとうずらの黄身を飾りつけた一品である 。 | 『青森シャモロックむね肉のチーズ博多 焼き白菜のみぞれ酢』 冬野菜をベースとし、ポン酢をソースとして仕上げた一品である。 |
洋風
『日本短角牛すね肉のリゾット「洋風けの汁仕立て」』 すね肉をじっくり煮込む。その後、野菜と米を入れ煮込む。味がしみ込んだ美味し い一品に仕上がる 。 | 『日本短角牛ばら肉のシードル煮込み』 シードルで煮込むことにより、肉が柔らかく仕上がる。 |
『青森シャモロックささみのスチーム岩木嶽わさびマヨネーズソース』 真空パックで蒸しているので、ささみが柔らかく仕上がっている。 | 『青森シャモロックと長いも、色々な地場野菜 のプレステリーヌ ”ジャポネスタイル”』 蒸したり、焼いたりした地場産品をゼリーにし、最後に蒸したりオーブンにかけた一品である。 |
中華
『青森シャモロックと県産にんにくのヒスイ炒め』 シャモロックの肉に片栗粉をまぶし、下味とミキサーにかけたほうれん草を混ぜ 天ぷらのように揚げると、ヒスイの様な一品に仕上がる |
■■ いよいよ試食タイム
新作メニューの紹介が終わり、参加者の方々は料理へと。シェフに料理について質問している方や、次に何を食べようかと迷っている方もいて、会場内は賑やかな雰囲気に包まれていました。手に取った料理をはさみ、その場に居合わせた方と交流を深めている様子も見られました。
全品を口にできなかった方もいたようですが、試食後、それぞれに新作メニューの展示品と照らし合わせ、頭を悩ませながらアンケート用紙に採点していました。
■■ 試食会を終えて
12品目のおいしい料理でお腹が満たされ、参加した方々は満足な表情で会場を後にされました。新作メニュー開発をきっかけに、今まで調理方法が少ないと言われていた部位の料理が、今後、県内のどこへ行っても食べられるようになることを期待しています。
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レシピに興味を持たれた方や、レシピに関する質問、お問い合わせは下記まで連絡をお願いします。
青森県農林水産部畜産課 経営支援グループ
電話:017-734-9496 FAX:017-734-8144
[取材日:2011年2月10日/鳴海]